日本ではあまり報じられないが、S&Pの格下げと同じくらい重要なのは、同じく金曜日に明らかになった「ギリシャと同国に融資(どういう形であれ)をしている銀行・投資家など債権者との話し合い」が一端決裂したことだ。
ギリシャ救済のスキームは、メルケル首相の強い主張で「ギリシャに債権を持つ債権団が自主的に50%放棄に合意した場合に、ギリシャの対外債務全体のうち1000億ユーロ分を棒引きにする」というものだ。それが出来なければ、ギリシャは破綻の道を歩むことになっていた。
しかし金曜日に明らかになったのは、その重要な「50%放棄」に関わる話し合いの「中断」とも言える状況だ。「自主的に」というところが肝心だ。ギリシャや周囲の国が銀行や機関投資家に対して強く「50%放棄」を求めると、ギリシャが実質的に破綻したことなってしまう。スキーム全体がおかしくなるのだ。
オーストリアはイタリア、スペインとは違って今回1ランクの下げにとどまった。しかし隣国のハンガリーに同国の銀行が大量に貸し込んでいることを考えれば、事態は深刻だ。ハンガリーは財政再建策が不十分だとして、EUから抜本的な見直しを求められ、それが「協定による制裁」に発展する可能性がある。
S%Pは、今回格付けを最上級に据え置いたドイツに関しても警告を忘れていない。今回格付けを据え置いたのはドイツが引き続き「competitiveness and financial rigor」(競争力があり金融面できっちりしている)からだが、「もし仮に現在GDPの80%に達している政府債務が100%になったら、ドイツの格付けも引き下げる可能性が高い」と述べている。